健康経営入門:メリットと導入ステップ
2025.07.09

健康経営の概要とメリット
健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点から考え、戦略的に実践する経営手法です。従業員の健康保持・増進が企業の収益性を高め、社会的価値を向上させるという考え方です。
少子高齢化による労働人口減少に伴い、従業員の健康への配慮がますます重要になっています。経済産業省が推進する「健康経営優良法人認定制度」の認定企業数も年々増加し、健康経営は企業経営に欠かせない要素となっています。
健康経営のメリット
企業側のメリット
健康経営は企業に複数のメリットをもたらします。生産性の向上については、経済産業省の「健康経営の推進について」によると、45%の企業が健康経営に取り組むことで従業員の生産性向上を実感しています。また医療費・健康保険料の削減効果もあり、特に生活習慣病予防は長期的なコスト削減につながります。さらに健康経営優良法人認定により企業イメージが向上し、取引先や顧客からの信頼獲得、人材確保にも寄与します。
従業員側のメリット
従業員にとっても健康経営は重要です。健康診断やセミナーを通じて健康意識が高まり疾病予防につながります。また労働時間管理や柔軟な働き方でワークライフバランスが改善され、企業による健康への投資は従業員の帰属意識やモチベーション向上をもたらします。メンタルヘルスケアや職場コミュニケーションの充実により、働きやすい環境が整います。
健康経営優良法人認定制度
健康経営優良法人認定制度は、経済産業省と日本健康会議が実施する制度で、優れた健康経営を実践する企業を認定するものです。大規模法人部門(ホワイト500)と中小規模法人部門(ブライト500)があり、認定により取り組みが評価されます。
認定基準は、①経営理念・方針、②組織体制、③制度・施策実行、④評価・改善、⑤法令遵守の5領域から構成されています。また、経済産業省によると2024年度は大規模法人部門で2,988法人が認定され、前年度から約11%増加しました。
健康経営の導入方法と成功事例
健康経営の導入ステップ
健康経営を効果的に導入するための5つのステップを紹介します。
ステップ1: 現状分析と課題抽出
健康診断結果、従業員アンケート、ストレスチェック結果から、優先課題を抽出します。データに基づいた分析が効果的な施策の基盤となるため、客観的な情報収集を心がけましょう。
ステップ2: 方針の策定
経営トップのコミットメントのもと、具体的な方針を策定し、社内外に発信します。企業理念や経営戦略との整合性を持たせることで、全社的な取り組みとして定着しやすくなります。
ステップ3: 実行体制の構築
人事部や健康管理部門を中心に、産業医や保健師との連携体制を構築します。必要に応じて「健康経営推進委員会」などの専門チームを設置し、部門横断的な協力体制を整えることも効果的です。
ステップ4: 具体的な施策の実施
課題に対応する施策を計画・実行し、効果測定の指標も設定します。従業員の参加意欲を高めるために、コミュニケーションを重視し、取り組みの意義や目的を丁寧に説明することが大切です。
ステップ5: 効果測定と改善
定期的に効果を測定し、PDCAサイクルで継続的に改善していきます。成功事例や改善点を社内で共有し、従業員からのフィードバックも取り入れながら施策をブラッシュアップしていきましょう。
効果的な健康経営施策の例
企業の健康課題は多様ですが、効果を上げている代表的な施策としては、健康診断の充実と事後フォローが挙げられます。法定健診に加えてオプション検査を提供し、結果に基づく個別フォローを徹底することで早期発見・早期対応が可能になります。また、生活習慣病予防として食生活改善セミナーやウォーキングイベントなどを実施し、従業員の健康意識を高める取り組みも効果的です。さらに、メンタルヘルス対策としてストレスチェックを実施し結果を適切に活用するとともに、社内外に相談窓口を設けることで、従業員の心身両面の健康をサポートできます。
健康経営の成功事例
花王株式会社の取り組み「健康マイレージプログラム」
高年齢化が進み働き方が多様化している現状に対し、生活習慣病リスクを考慮した花王株式会社では、「健康マイレージプログラム」を導入しました。健康づくりに関するイベントへの参加や自らの生活習慣改善を行った従業員に対し、「健康マイル」を付与し、貯まったマイルは健康グッズと交換できる仕組みです。その結果、マイレージ参加率が高い事業場ほど、生活習慣の改善がみられています。
健康経営導入時の注意点
健康経営を導入する際には、いくつかの重要ポイントに注意しましょう。イベント的な一過性の取り組みではなく、継続的な活動となる社内体制を整えることが大切です。また、健康データを扱う際には従業員のプライバシーに十分配慮し、個人情報保護のルールを明確にして信頼関係を構築しましょう。効果測定においては、具体的な成功指標を事前に設定し、PDCAサイクルを効果的に回せるようにします。そして、経営層が健康経営の重要性を積極的に発信し率先して取り組むことで、全社的な浸透が加速します。
まとめ:健康経営が企業と従業員にもたらす価値
健康経営は、従業員の健康を企業の重要な経営資源と捉え、戦略的に取り組むことで、企業と従業員の双方に大きな価値をもたらします。企業にとっては生産性向上、医療費削減など多くのメリットがあります。また、従業員にとっては健康増進やワークライフバランスの改善につながります。
効果的な健康経営の実践には、現状分析から始まり、方針策定、体制構築、施策実施、効果測定という段階的なアプローチが重要です。自社の課題に合わせた施策を選択し、継続的に取り組むことがポイントです。
健康経営は、企業の競争力強化と従業員の幸福度向上を同時に実現する、これからの時代に欠かせない経営戦略です。
メンタルヘルス研修についてはこちらをご参考ください。
⇒記事:https://pdca-school.jp/column/3496
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